Q「えっ?書かずに文章がうまくなるの?そんなうまい話ある?」
A「あるんです!」
私も最初は半信半疑でこの本を手に取りましたが、今ではもっと早くこの本と出会いたかったと思うようになりました。文章を書く上での心構えが変わり、確実に文章は以前よりも上達しています。
以下のように悩んでおられる方には、是非読んで欲しい1冊です。
・ブログを書こうとしていたのに書くネタが思いつかず、1時間youtubeを見て無駄にすごしてしまった。
・メールで何が言いたいのかわからないと上司から注意されて、落ち込んでいる。
・自分の考えを伝えるために、読者が最後まで読みたくなる文章が書きたい。
本書には文章力を上げるための31のトレーニングが掲載されています。どれも日常で簡単にできるものばかりです。気になる方は、是非お手に取ってみてくだい。
それでは、本書の内容をご紹介していきます。
著者の山口拓朗さんについて
まずは著者の山口拓朗さんがどんな方なのかご紹介します。
山口さんは大学卒業後から6年間出版社に雑誌記者を務めて、2002年にフリーライターとして独立されました。執筆媒体は『日経おとなのOFF』『FLASH』『Asahi Weekly』『るるぶ東京』『カスタムCAR』など多岐に渡ります。
現在は伝わる力【話す・書く】研究所所長を務め、数々の著作を手掛けてきました。著作には2013年Kindle本年間ランキング(ビジネス・経済部門)で1位に輝いた『ダメな文章を達人の文章にする31の方法 なぜあなたの文章はわかりにくいのか?文章の書き方が分かる本』をはじめ、『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』などがあります。
文章講座の開催もしており、まさに文章のスペシャリストと言っても過言のないお方です。
思考と準備
「思考」と「準備」が変われば、あなたが書く文章は格段によくなります。
…『書かずに文章がうまくなるトレーニング』より引用
本書では、文法や言い回しなどの細かいテクニックは書かれていません。文章を上達させるための「思考力」と「準備力」を鍛える方法が、31個のトレーニングとなって紹介されています。トレーニングにあたって特別な道具は必要ありません。トレーニングは日常の生活の中で気軽に出来るものばかりです。普段の会話の中でできるトレーニングもありますし、文章を書くときにちょっとした意識するだけのものもあります。
具体的には以下のようなトレーニングがあります。
「読み手本位の文章」を心がける~贈り物トレーニング
「アウトプット」をして記憶を上手に使う~話す・書くトレーニング
自分に問いかけると、文章の質が変わる~自問自答トレーニング
「ルーチン」を作ると集中力が高まる~スイッチ発見トレーニング
「締め切り」を設けると速く書ける~デッドライン設定トレーニング」
…『書かずに文章がうまくなるトレーニング』より引用
この中で印象に残ったのは、話す・書くトレーニングです。インプットした情報を、友人に話したり、日記に書いたりして、情報を整理します。情報を整理することによって、情報が「短期記憶」から「長期記憶」へと移動して、自分の引き出しが増えるという内容です。
本当は日々様々な情報をインプットしているのに、「長期記憶」として定着していないので、いざというときに引き出すことができなければ、もったいなさすぎます。些細なことでも話をしたり、メモに留めたりして、アウトプットをしないといけないと感じました。
書くトレーニングではなく、思考のトレーニング
本書に書かれている内容は前述したように、書くトレーニングではなく、思考のトレーニングです。ですので、文章を書く上ので細かいテクニックを知りたい方には向いていません。文章を書く前に悩んでしまっている方にこそ、読んで欲しい1冊です。
常日頃から考えていることが文章には現れます。普段運動していない人が、いきなりフルマラソンを走れないように、普段から考えていない人には、良い文章を書くことができません。考えが浅いと、文章も浅くなってしまいます。常日頃から考える癖をつけて、自分なりの考えを持つことが良い文章を書くための第1歩です。
また、情報のインプットの仕方も大事になってきます。起きた出来ごとを漠然と書くだけでは、読者にはうまく伝わりません。「神は細部に宿る」という言葉があるように、具体的に描写することが大切です。
例えば休日に何をしていたのか聞かれた際に、
「昨日は映画を見に行きました。楽しかったです。」では情報が少なすぎます。
これをより具体的にして、
「昨日は休日だったので、以前から楽しみにしていた映画「TENET テネット」を友達と一緒に有楽町の映画館で見てきました。ストーリーは難解でしたが、予想のつかない展開でハラハラ、ドキドキさせられました。考察ポイントが多いので、見終わったあとに友達と感想を述べあうのが楽しかったです」とすると具体的で相手に伝わりやすくなります。
5W1Hや細部に意識して、情報をインプットするとより具体的な文章を書けるようになります。本書を通じて、細部に意識することの大切さを学べました。
常日頃から「思考」して「準備」することが、相手に伝わる面白い文章を書くためには大切です。『書かずに文章がうまくなるトレーニング』を読んで、「思考」と「準備」することから初めてみてはいかがでしょうか。