「BOOKS昭和堂」の閉店から考えたこと

本を商業化しても良いのか。書店員としての苦悩

「BOOKS昭和堂」の閉店

twitterで取り上げたのですが、千葉県習志野市の「BOOKS昭和堂」が9月15日をもって閉店しました。私は店舗に行ったことはなかったのですが、歴史ある本屋さんが閉店するのは淋しいものがあります。本の売り上げは年々に減少していています。2017年の紙書籍の売り上げは前年(1兆4709億円)比6.9%減の1兆3,701 億円でした。

この本屋さんはJR津田沼駅の改札口を出てすぐのところにあり、好立地でした。しかし、駅前立地のお店でも、業績低迷により店舗を閉めなければいけない現状に元書店員として危機感を感じています。どうすれば本がもっと売れるのか、どうすれば本屋が儲かるようになるのかを考えさせられます。おそらく「BOOKS昭和堂」の店員の方も苦悩しておられたと思います。

本を「商品」として扱うのか「作品」として扱うのか

本を「商品」として扱わないとお店は経営できない

紹介している記事の中に、「白い犬とワルツを」の手書きPOPを書いた木下和郎さんについて書かれています。木下さんの手書きPOPを展開したことによって「白い犬とワルツを」は150万部を超える大ベストセラーとなりました。

そこから、書店員による手書きPOPを書くのがブームとなったのですが、木下さんはブームを否定して、POPを書かなくなったそうです。木下さんの心の中には本を「商品」として扱うのではなく「作品」として取り扱いたいという思いがあったのだと思います。

木下さんとは逆の立場ではあるのですが、私も書店員として同じ思いをしていました。自分が好きでおすすめしたい本があったとしても、それは売れる本ではありません。そうなると、その本をお店には置けません。「商品」として本が売れないと、お店は儲からないからです。

これは常に上司から言われていました。「本が売れる売り場を作れ」「どうやったら商品が売れるか常に考えろ」。ビジネスとして本屋を運営していくのであれば、これを考えるのは当たり前です。本屋は無料で開いているわけではありません。店舗の家賃はかかる、店員の人件費もかかるし、もちろん本の仕入れにもお金がかかります。お店を経営し続けるには、前述のコストを払った上で利益を出していかなければなりません。利益が出せない店舗は潰れるのを待つだけです。

本を「作品」としても取り扱いたい

本を「商品」として取り扱わないと本屋は続けていけないと書きましたが、本好きとしては本を「作品」として大事に取り扱いたいという思いもあります。本1冊1冊に作者の思いが込められています。本でしか表現できないもの、芸術性を大事にして、お客様に届けたいのです。思いがお客様に伝わったときほど嬉しいことはないです。反対に自分が好きな本が売れなかったときほど悲しいものはありません。

一昨年の本の出版点数は78113点(総務省統計局調べ)でした。これは1日に214冊もの本が新たに出版されていることになります。新しい本がどんどん出版されるなか、書店も限られたスペースに置く本を厳選しないといけません。そうなると、本屋の特色を出しにくくなってしまいます。売れ筋の本のみが店舗に残ることになるからです。本を「作品」として取り扱う余裕は今の書店にはないのかもしれません。

最後に 本屋として本をどう取り扱うか

では、本屋さんは本をどう取り扱っていくべきなのでしょうか。私は店舗毎に本の扱い方を変えてみてはと思います。

例えば、繁華街にある店舗は本を徹底的に「商品」として取り扱う(既にやっていると思いますが・・・)。

一方で昔からある町の本屋さん、小型店は本を「作品」として取り扱ってみる。そのお店の特色、店長の好みを前面に出した店舗を作ってみる。そこでしか得られない体験が出来る店舗を作る。本の「作品」としての側面を全面に出して、感動体験が出来ればお店に人は集まると思います。(例えば読書会、朗読会、作家さんや出版関係者との交流会)

全ての店舗が同じ方向性で動いて、利益を出すのは不可能だと思います。店舗毎の特色をだして、お店に来てくれるファンを一人でも増やしていくべきです。

本を「商品」として扱うか「作品」として扱うか。永遠に議論されるべき問題です。この問題を真剣に考えて、自分達なりの答えを出せた本屋がこの先も生き残っていくのかもしれません。

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