バキ風哲学者入場から始まる哲学最強を決める戦い
最近いくつかの哲学入門書を読んで、哲学の入り口から2,3歩進んだ蔵之助です。今回読んだ「史上最強の哲学入門」がおもしろく読みやすかったのでご紹介します。
まず表紙のインパクトがすさまじいです。哲学とは無縁そうな男の表紙を描いたのは、「バキ」の作者「板垣恵介」さんです。表紙をめくると始めに「最大トーナメント」を彷彿とさせる哲学者入場が始まります。一部をご紹介しましょう。
哲学者こそが地上最高の代名詞だ!まさかこの男が来てくれるとはッッ!
哲人王 プラトン!!・・・飲茶「史上最強の哲学入門」より
デカカァァァァァいッ!!説明不要!!哲学界の大巨人アリストテレスだ!!
・・・飲茶「史上最強の哲学入門」より
ダメ人間が帰ってきたッ!お尻を出した子、一等賞(チャンピオン)!
人民は君の著作を待っていたッ!ルソーの登場だ―――――――――ッ!!・・・飲茶「史上最強の哲学入門」より
元ネタを知っている人なら笑ってしまう哲学者入場が行われます。間違えて格闘漫画を買ってしまったのではと不安になりますが、きちんと哲学を解説していますのでご安心ください。
哲学は戦いである
本書は「真理」「国家」「神様」「存在」4つのテーマに沿って、各哲学者達の考えが紹介されていきます。ある哲学者の論を紹介したら、それに対立する論を紹介して、さらに2つの論を包括するような論を紹介してと、より「強い論」を紹介していきます。古代から現代へと時系列順に哲学者が紹介されていき、テーマの核心へとせまっていきます。
強いやつが出てきたら、対立するライバルが出てきて、さらにそれより強いやつが出てきて格闘漫画のように話は進んでいきます。まさに哲学は戦いで、哲学者達は「強い論」のぶつけあいで「真理」という最強を目指していきます。
より「強い論」をぶつけるという展開により、それぞれ哲学者達の考えがわかりやすいですし、テーマ毎の問題も整理されていきます。テーマの最後には、現代に生きる私達は何を考えるべきか、どう生きるべきかがまとめられています。哲学者達の戦いは、現代に生きる私達に生き方のヒントを提示してくれています。
印象に残った哲学者
「史上最強の哲学入門」に登場している31人の哲学者の中で、印象に残った哲学者を紹介していきます。
ソクラテス
ソクラテスのエピソードを知ると、彼の純粋な「真理を知りたいと願う、熱い気持ち」が、その後の哲学の発展に繋がっていったと思います。彼の意思を弟子であるプラトンが引き継ぎ、「アカデメイア」という今の大学に連なる組織ができました。ソクラテスが哲学の祖と呼ばれるのが頷けます。
ルソー
40代まで無職で、女性の前でお尻を出して捕まる変態という、どうしようもない人間だったエピソードは衝撃的でした。哲学者とは到底思えません。そんな彼が論文コンクールを受賞したおかげで一気に有名になり、今日では教科書に載るほどの人物になったのは驚きです。ルソーの人生大逆転劇は、人生あきらめなければ何かが起こることを証明していて勇気をもらえました。
ニーチェ
ニーチェの超人思想は現代を生きる私達の道しるべになる思想だと思いました。
超人が普通の人間と違うのは、「強くなりたいという意志をしっかりと自覚し、それから目を背けない」という、ただその一点だけである。
・・・飲茶「史上最強の哲学入門」より
人生に期待を抱かず、ただ漫然と日々を過ごすのではなく、少しでも強くなりたい、成長したいと目標を持って生きることの大切さを教えてくれています。1段1段でも良いから高みに登りたいという強い気持ちを持ち続けることができれば、より良く生きられると思います。
ニーチェの思想は過激ですが、心に刺さるものがありました。より詳しくニーチェの思想を知りたいなと思いました。
まとめ
哲学という難解な題材を、漫画のパロディを使用してキャッチーに解説しています。今までに哲学に興味がない方が触れやすい仕上がりになっています。哲学の入り口に立つために、読んで欲しい1冊です。
本書は西洋哲学の哲学者しか紹介されていませんが、東洋哲学を紹介している「史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち」も出版されています。合せて読んでみると良いかもしれません。