約70時間をかけて『黎の軌跡Ⅱ』をクリアしました(全サブイベント、お伽の庭園クリア)。今作は前作に比べてシステム面では進化しましたが、全体のストーリーとしては前作の方が正直面白かったです。私は、ループが連続する物語をあまり好きにはなれませんでした。ループの繰り返しによって、前作で築き上げたヴァン達の価値が下がったと感じたからです。ループを回避できる選択肢を増やしても良かったのではと思いました。
今回の記事では、『黎の軌跡Ⅱ』クリア後のネタバレ感想を書いていきます。ストーリーのネタバレがあるのと、少し辛口になっているので、ご注意ください。
ストーリーのネタバレ感想
ここからはネタバレありで、本作のストーリーへの感想を述べていきます。未プレイの方はご注意ください。
ループ連発でキャラクターの動きが雑に…
ループありきで、キャラクターの動きが雑になっていると感じました。前作のヴァンは裏解決屋としての経験を活かして、ストーリーの中でうまく立ちまわるキャラでした。しかし、今回の事件では、ヴァン特有の嗅覚が効かないことから、敵に遅れを取り続けます。それが顕著に現れるのが第3章です。
第3章では、それまで友好的だったキャラや味方キャラが第8のゲネシスによって記憶を改変されて、ヴァン達と敵対することになります。戦闘に参加しないアシェンやハルが、ヴァン達に殺意を向けてきました。ここでヴァン達は何度も命を落とし、巻き戻しを繰り返すことになります。
カシムやセリスなど強キャラにやられるならまだしも、アシェンやハルにまで倒されてしまいます。前作のヴァン達からは想像できません。まったく無警戒で、相手のトラップに引っかかるヴァン達の姿を見たくはなかったです。
ループありきの展開で、キャラクターの動きが雑になっているのでは?と思ってしまいます。前作だったら回避できたであろうピンチに対処できていません。屋上で飛行船に潰されたり、リゼットのトラップに引っかかったり、黒月の凶手の毒にやられたり…。何度もループを繰り返されると、流石に呆れてしまいました。前作での経験値はゼロになってしまったのでしょうか。
個人的には、物語上必要な大きなループ以外はループを回避できる選択肢を増やしても良かったのではと思います。(断章ではループを回避することができた)マクシムのパートなんかは何回もループさせる必要性を感じませんでした。以前のヴァンだったら、ユメへの違和感、事前の聞き込みなどで対処できた気がします。
今作の黒幕であるガーデンマスターが大物だったら幾度のループにも納得できるのですが、小物だったのが痛かったです。ヴァン達が裏をかかれる展開に説得力がなくなってしまい、ただヴァン達が無能だったという事実を突きつけられてしまいました。
しかも、今回はループによる色々な可能性を体験しただけで、共和国での物語はほとんど進展していません。前作でほのめかされたグレンデル化の謎や、宇宙軍についてはほとんど明かされませんでした。
ただ今回の度重なるループが大きな伏線となっているかもしれません。アップデートで追加されたエピソード「御伽ヲ歪メシモノ~そして…」のラストでそれとなく匂わせがあったので、様々な可能性を観測した結果が次作に活かされそうです。
みんな脳筋の断章
裏解決屋のヴァンは様々な勢力と協力関係を築くことができますが、同時にどの勢力とも敵対する危険があるということが断章のストーリーでは描かれます。各勢力と対立する構図は、前作の第5章を彷彿とさせました。
前作の第5章では、ベルガルドのおかげで教会の面々と対峙せずに済んだり、カシムの裏をかいて真正面からの戦闘をさけたりと、戦闘以外の手段もとられていました。ですが、今作では半ば問答無用で各勢力と戦闘することになってしまいます。
ハーウッドとの繋がりを疑われていて、ベルガルドもいないので、しょうがない部分はあったと思います。ですが、エレインやシェリド殿下とまで戦うことになるとは思いませんでした。前日にエレインは水着であんなにはしゃいでいたのに…、シェリド殿下も事情が分かってそうなのに…。2人と戦う必要ありますか?と思ってしまい、正直この2人との戦闘は全然乗り気にはなりませんでした。
ゲームとしては戦闘した方が正しいのでしょうが、とりあえず戦おうぜ!というノリは脳筋すぎます。裏解決屋っぽく絡め手での解決方法があっても良かったのではと思いました。ただ、イクス、ヨルダと協力(というか利用)する展開は良かったです。
あと断章でもう一つ気になったのは、島に集まった全勢力がハーウッドの毒で一網打尽にされてしまうシーンです。カシム、シズナ、守護騎士、結社の2人がいてまんまと罠に引っかかってしまうのは、どうにも納得がいきませんでした。流石にこの面子がいたら、何か打開策を用意していそうなのですが…。
ハーウッドが凄すぎるのか、みんなネメス島のバカンスで浮かれていたのか、どちらにせよちょっと無理があるシーンだなと思いました。
レンのコネクトイベントは必見
ここまでは悪いところばかり上げましたが、もちろん良いイベントもあります。今回は数が少ないですが、終盤のコネクトイベントはどれも面白かったです。姿が変わるリゼットとカトルのイベントは面白かったですし、意外な一面が見られるキンケイドのイベントも良かったです。その中で、レンのコネクトイベントは特に印象に残りました。
『空の軌跡』からプレイしている私にとって、レンがパテル=マテルと再会するシーンは感慨深かったです。エステル、ヨシュア、ティータのみならず、結社の執行者たちもパテル=マテルの復活に協力していて、レンの愛され具合がわかります。レンの感極まる姿を見たときは、こちらも感極まってしまいました。
本作では、本当の意味でレンが楽園の呪縛から解き放たれました。コネクトイベントの最後のセリフであったように、次回作でもヴァンの大きな力になってくれると思います。個人的に『黎の軌跡』の裏ヒロインはレンだと思っているので、ヴァンのヒロイン候補としての姿も見てみたいです。
スウィンとナーディア
スウィンとナーディアが好きだったので、2人の活躍が見られたのは良かったです。1章、2章では裏主人公のポジションで物語の中心となっていました(第3章で長期離脱してしまうのは少し残念でしたが…)。スウィンとナーディアの活躍を期待して本作をプレイしていたので、その点では大満足です。
スウィンは償いのために兄代わりとしてナーディアと接していましたが、今作の3章の最後でナーディアへの負い目がなくなります。スウィンはナーディアをパートナーとして、1人の女の子として見ようになりました。
スウィンからのアタックに照れてしまうナーディアの姿を見たときは、ニヤニヤが止まりませんでした。2人の関係が進展したのが、今作での最大の収穫ではないでしょうか。次回作では、ルーファス、ラピスを含めたピクニック隊の活躍が見られたら嬉しいです。
次回作への期待、伏線
今作は『黎の軌跡』最終作となる次作への繋ぎの役割が大きいと思います。今作で共和国内での物語は大きく動かなかった分、次作では大爆発することを期待したいです。個人的に気になる次作への伏線を紹介したいと思います。
- グラムハート大統領が設立した宇宙軍
- 共和国との不可侵契約が終わった結社の動き
- ハミルトン博士はトリオンタワーを使って何をしようとしているのか
- ゲネシスの本来の用途
- グレンデル化の謎
- メアの正体
- 黒神と八葉の者しか立ち入ることができない大陸東部の果て
- 終わりの聖女であるニナ
- クルガの巫女の使命
- リゼットが身体を失うことになったあの日の出来事
- グリムキャッツの変身道具
- 『黎の軌跡Ⅱ』の事件が起きている時にルーファス・ベルガルドは何をしていた?
宇宙軍基地が共和国東部のイシュガル山脈にあることから、次回作の舞台は共和国の東部が中心になりそうです。宇宙軍の目的、それに対してハミルトン博士は何をしようとしているのかが物語の大きな部分を占める気がします。そして、世界の終わりが近付いているとあって、結社の「永劫回帰計画」も再び動きだすはずです。次回作はかなり大きな展開が期待できます。
シズナのコネクトイベントで大陸東部の秘密が少し明かされたこともあって、次作ではついにリィンが登場しそうな気がします。あとⅦ組だとヴァンの弟弟子にあたるガイウス、各地を巡回してるであろうエマも登場しそうです。
また共和国の遊撃手は人手不足とあって、エステルやヨシュアも参戦するのでは?と個人的に期待してます。八葉つながりで、満を持してアネラスも登場してくれたら嬉しいです。
いずれにせよ今作が少し消化不良だった分、次作は『閃の軌跡Ⅳ』のような集大成的な作品になって欲しいです!
まとめ
・キャラクターが脳筋になる断章
・レンのコネクトイベントは必見
・関係が進展したスウィンとナーディア
・本作でストーリーが進まなかった分、次回作はすごいことになりそう
今作のストーリーに不満はありますが、ゲームが楽しめなかったわけではありません。ガーデンマスターやグレンデル=ゾルガの正体を知るまでは考察して楽しめましたし、天使になったカトルを救うシーンやレンが過去を乗り越えるシーンにはウルっときてしまいました。
今作で共和国内でのストーリーがあまり進まなかったのは残念ですが、その分次回作が豪華になるならそれで良いと思います。過去作を振り返りながら、次回作を期待して待ちたいです!