経営に詳しくなくても、メガネをかけてなくても楽しめます
倒産寸前のメガネチェーン「オンデーズ」買収から再生までの実話を元にした小説です。物語は著者であるオンデーズ社長の田中修治さん視点で進みます。
物語の進むスピードがものすごく早くて、ジェットコースターに乗っているようです。息つく間もなくオンデーズは、成長と危機を交互に迎えます。「えー!どうなっちゃうの?」と常に続きが気になり、ドキドキしながら読めました。
経営に詳しくなくても、メガネをかけてなくても楽しく読める1冊です。
即断即決のスピード感
オンデーズの買収から始まり、企業買収、新規出店、海外進出等の会社のアクションは、物語の中でほぼ全て即断即決で行われます。経営する上でのスピード感の重要さがわかります。
全ての判断が成功につながるわけではありません。資金繰りが難しくなり、倒産の危機に何度もさらされます。それでも即断即決しないと、競合相手に遅れをとりますし、大きな成長にはつながりません。
作中で何度か「倒れるときは前向きに」という言葉が登場します。この言葉がオンデーズの精神を象徴する言葉だと思いました。やらないで後悔するよりも、挑戦して失敗した方がマシという思いが伝わります。何もしなければ失敗はしませんが経験はつめません。挑戦すれば、たとえ失敗しても経験はつめます。失敗した経験は次の挑戦に活かせます。
「倒れるときは前向きに」という言葉を、胸に刻みこんでいきたいです。
従業員を大切に
田中社長は会社が倒産の危機に瀕したとき、真っ先に一緒に働いている従業員のことを考え、給料をきちんと払えるかを心配しています。
作中で「全国の従業員がオンデーズ再生の重要な鍵」とおっしゃっていて、本当に1人1人の従業員を大切にしています。従業員を大切にしているからこそ、みんな文句を言いながらも社長についていきます。
そして社長と従業員の間に壁がなく、言いたいことを言える環境は素晴らしいです。風通しの良い会社は、オンデーズのような会社を言うのだと思いました。
人あっての企業だと改めて実感しました。人材を大切にしたからこそ、成長につながったのです。
企業経営に切っても切り離せないお金の問題
経営者は常にお金の問題と、日々向き合っていることがわかります。資金繰りを一歩間違えれば、倒産が目前に迫る状況です。普通の精神で乗り越えられるものではないと思います。1つの判断ミスで多くの従業員が路頭に迷う可能性があるので、プレッシャーは計り知れません。
売り上げを伸ばすためには新規出店が必要です。しかし債務超過の事実があるオンデーズには、銀行の融資がおりません。銀行の融資の渋さが描かれていて、お金を借りることの難しさがわかります。
それでもお金をかき集めて、イチかバチかで新規出店をしていく姿はシビれます。地に足のついた経営だけでは、大きな成果は得られないと思いました。
まとめ
オンデーズが再生するまでの山あり谷ありの物語が描かれています。経営者視点で書かれていますが、経営に詳しくなくても楽しく読めます。メガネチェーンの話ですが、メガネに詳しくなくても大丈夫です。読めばオンデーズでメガネを買いたくなります。
経営の大変さを実感させられると同時に、働くことの楽しさも味わえる1冊です。是非、田中社長が作ったジェットコースターに乗ってみてください!