インターネット社会での人間のあり方を書いた本
糸井重里さんの「インターネット的」を読みました。糸井重里さんがインターネットについて定義しているのと、それに付随した未来についても言及しています。この本は2001年、約17年前に書かれたものですが、今現在のインターネットの状況を予言していて大変驚かされました。
私が読んだのはそこから10年後の2011年に発売された文庫版です。こちらには「続インターネット的」という章が加筆されています。帯には「まるで予言の書」と書かれていますが、まさにその通りです。
今回はその中で私が印象に残った箇所を紹介していきます。
only is not lonely
糸井重里さんがインターネットを定義した言葉に「only is not lonely」というものがあります。
つながりすぎないで、つながれることを知る。こういう関係が,インターネットの上では、リアルに感じられるかもしれません。「ひとりぼっちなんだけれど、それは否定的な「ひとりぼっち」ではない。孤独なんだけれど、孤独ではない。
・・・糸井重里「インターネット的」より
画面の前では1人でも、その向こうの誰かとは繋がっている。自分が見ているのはただの文字、映像、画像だけれども、そこには人が生きているのが感じられるということです。
私が以前に感じていたのは、インターネット上(SNS twitter、Facebook)の人格は幻なのではないか。画面の向こうには人がいない。人間的なものが存在しないのではないかと感じていました。
よくよくインターネットの文章を読んでみると、そこにまったく同じということは存在していませんでした。それぞれが、それぞれの考えを持っていて、違う形で表現している。何だか人間くささを感じたのです。個性が確実に存在していました。
礼儀、マナーを守る部分はありますが、もっともっと人間くささを出しても良いのでないかと感じます。そこから人間同士の繋がりが強くなるのではないかと感じました。
信頼はインターネット的出発点
「正直は最大の戦略である」という実験結果は、無理に他人をだましたりしなくてもいいし、好き好んで善人であろうとして不自然なガマンをしなくていい、という「自由」な生き方を肯定してくれる思想になると思ったのです。
・・・糸井重里「インターネット的」より
社会心理学者の山岸俊男さんの実験結果で「正直は最大の戦略」であるという結果があります。
これは、ある種のゲームを繰り返した時に、相手を騙して裏切るプレイヤーよりも、正直なプレイヤーの方が大きな収穫得る結果がでたことをいっています。
糸井さんは勝てば官軍という思想は嫌だし 、善き人は貧乏であるという考え方も嫌だと言っています。私もそう思います。正直者が馬鹿を見る世の中は変えていきたいです。
企業のあり方
そこから企業のあり方についても述べています。良いこと、みんなが喜ぶことをする、信頼される企業が躍進していくと。
実際その通りで、アマゾンはお客様ファーストで動いており利益のほとんどを事業投資に当てています。その結果アマゾンは大企業に成長しました。
よりお客様が喜ぶにはどうした良いかを考えて、正攻法で挑んでいる企業が結果を出していっていると思います。
お金に価値があるのではなく、信頼に価値がある。ただお金を持っている人、企業は信頼を得られないが、信頼がある人、企業にお金が集まるのです。
魂の社会
「食物を持つ、生きられる満足」を得ようとする農業社会の時代が、「ものを持つ力を持つ満足」の工業化社会の時代に移行し、「ことを持つ·知恵を持つ満足」の情報化社会がきたのですから、次は、持つことから自由になって「魂を満足させることを求める」社会がくるのではないかと考えても、そんなに不思議はないとも思うのですが。
・・・糸井重里「インターネット的」より
今は誰もが、自己表現ができる時代です。自分の魂を誰でも表現することができます。
インターネットの拡大で、実際の人間関係が希薄になったという見方もできるかもしれません。
でも、それは違うと思います。今まで他者との関わりの中で、建前で隠していた部分がインターネットの登場によって発信できるようになりました。本音を隠さずに発信できるようになったのです。魂と魂がぶつかれる時代がきました。
匿名性の恩恵というのもあると思いますが、インターネット上では関係性がフラットになります。SNSを通じて一般人が総理大臣に意見することが出来る世界です。時間、場所、地位を超えて発信することができます。
自分の意思を表明して、他者とシェアすることは簡単です。ボタン一つで世界中の人と繋がれます。それは、現実ではない緩いつながりかもしれません。でも、そこには確実に人間くささと個性があります。
インターネットの場で正直に自分の魂を表現できれば、自分の可能性はより広がっていくと思います。
まとめ
「インターネット的」を読んで、インターネットとは何かをつかむことができたと思います。インターネット上のコミュニケーションも、人同士での会話であることを忘れないでいたいです。
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