ジャンプ+で短期連載し、話題となった『タコピーの原罪』。その作者であるタイザン5 先生が満を持して週刊少年ジャンプで連載を開始しました。連載作品のタイトルは『一ノ瀬家の大罪』です。
事故で記憶喪失した家族が徐々に記憶を取り戻していくハートフルな物語かと思いきや、後半で一気に不穏な空気が漂っていました。第1話のつかみはバッチリで、タイザン5先生に求められているものが描かれていると思います。予想通りの第1話だったので、これからどう読者の予想を超えていくのか楽しみで仕方ありません。
今回の記事では、『一ノ瀬家の大罪』第1話の感想や今後の展開予想などをご紹介していきたいと思います。
あらすじ
一ノ瀬翼が病院のベッドで目を覚ますと、そこには翼の家族を名乗る5人の人物がいました。しかし、翼は事故の影響で記憶を失っていて、5人のことをまったく覚えていませんでした。そして、この5人も同様に車の事故がきっかけで記憶を失っていました。
母親と思われる美奈子、父親らしい翔、祖母を名乗る幸恵、祖父っぽい感じの耕三、そして妹みたいな詩織。
翼はこの5人と一ノ瀬家としての記憶を取り戻すために、架空の思い出トークを始めます。架空の旅行話をして家族は盛り上がり、翼は家族に希望を見出すのですが…。
第1話の感想
物語の落差が半端なかったです。記憶を失った家族が希望を持った次のページで、ごちゃごちゃに物が置かれてまったく掃除されていない部屋の様子が描かれます。それまで家族は、ニューヨークやナイアガラの滝など架空の旅行話を楽しそうに話していただけに、落差が半端ありませんでした。キラキラした夢が、一気に現実に引き戻されました。
そして、狭い廊下に独房のように配置された鍵のついた家族それぞれの個室、翼の部屋一面に書かれていた「死」の文字、自分の部屋を見たときの各々の表情。この家族に何かがあることが、一瞬でわかりました。希望に溢れていた一ノ瀬家が真実を知って、どのように変わっていくのかが楽しみです。
家族全員記憶喪失という非日常が、家族が直面している日常によってどう塗り替えられていくのでしょうか。
物語の考察
第1話を何度か読み、自分なりに物語を考察してみました。一ノ瀬家自体に謎が多いこと、ラストのコマで誰も座っていない椅子が描かれていること、病院に誰も見舞いにこなかったことなど今後の展開に繋がりそうなポイントを上げています。
一ノ瀬家の謎
記憶喪失のきっかけは車の事故ということになっていますが、これは本当に事故だったのでしょうか。自暴自棄になった一ノ瀬家が故意に起こしたという線も捨てきれません。もし故意の場合、なぜそのように至ったのか気になるところです。一家全員をどん底に落とすような出来事があったのでしょうか。
もう一つ気になるのは、一ノ瀬家の住まいの状況です。リビングにあった机の上には物が溢れかえっており、長い事掃除していなかったのが伺えます。また、机に大量の菓子パンが置いてあることから、料理する余裕もなかったように見えました。ですが、食器棚に食器がきちんと並べられていることから、以前は机の上に物が溢れていない状況だったのではと推測されます。
また、家族各々の部屋が、狭い廊下に独房のように配置されているのも気になるところです。夫婦の寝室が一緒ということもなく、6人分全員の個室が用意されていました。しかも全ての部屋が鍵付きです。部屋の間取から、記憶喪失前は家族の交流が少なかったように思います。
翼の部屋
家族の部屋で、今回は翼の部屋の中だけが描かれていました。部屋一面に「死」という文字が書かれ、散乱した部屋の中にはカウンセリングと書かれたチラシが落ちていたので、翼は事故に遭う前はかなり精神的に不安定な状況に陥っていたと思われます。
また、家族6人の顔を黒く塗りつぶした写真があったことから、翼と他の家族との間で何かしらのトラブルがあったと推察されます。
七つの大罪 空いている椅子
大罪といえば「七つの大罪」が連想されます。傲慢、嫉妬、憤怒、強欲 、怠惰、暴食、色欲。一ノ瀬家は、七つの大罪にまつわる罪をそれぞれ犯しているのではないでしょうか?
そうすると、一ノ瀬家は6人家族なので1人足りないことになります。ですが、一ノ瀬家にはもう一人家族がいたと思われる描写が、第1話のラストのコマでされています。
ラストのコマで家族6人が椅子に座っているシーンが描かれているのですが、その手前に誰も座っていない椅子が描かれています。一ノ瀬家は実は7人家族だったのではないでしょうか。
7人家族だとすると、なぜ事故時にその人物はいなかったのでしょうか?なぜ家族写真に写っていないのでしょうか?空席に座っているはずの7人目が、物語の鍵を握っていそうです。
誰も見舞いに来ない理由
家族全員が病院に入院していましたが、誰かが見舞いに来ている様子は描かれていませんでした。友人や同僚ならまだしも、親戚すら見舞いに来ないのは不自然すぎます。
何らかの理由で来ることができなかったか、それとも6人は社会から隔絶されている状態にあるのか。どちらにせよ、家族が他者とどのように付き合っていたのかも物語の大きなポイントになりそうです。
まとめ
・謎の多い一ノ瀬家
・実は7人家族?
・誰もお見舞いに来ない理由
タイザン5 先生の『一ノ瀬家の大罪』は第1話から気になることが満載で、続きがとても気になりました。今後、一ノ瀬家にどのような出来事が起きるのでしょうか!?作品に興味を持たれた方は、現在ジャンプ+で第1話が配信中ですので、チェックしてみてください!