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正義の教室 感想 あなたの価値観ぶち壊されるかもしれません

超久しぶりの更新です。

今回は飲茶先生の『正義の教室 善く生きるための哲学入門』をご紹介していきたいと思います。3つの正義を通して、「正義とは何か」について書かれた本作。とっつきにくい哲学の話が、ストーリー仕立てでユーモア溢れる文章で書かれています。全てを読み終わったあと、あなたの価値観はぶち壊されるかもしれません。
それでは、本作についてご紹介していきたいと思います。

正義とは何か

本作では、
平等
自由
宗教
本書では正義の判断基準は、この3種類だと述べています。そして、3つの正義を実現するために、人間の思考は次のような主義に行き着くようです。

(1)「平等の正義」を実現するには→功利主義(幸福を重視せよ!)
(2)「自由の正義」を実現するには→自由主義(自由を重視せよ!)
(3)「宗教の正義」を実現するには→直観主義(道徳を重視せよ!)

…『正義の教室 善く生きるための哲学入門』P43より引用

それぞれの主張は一見すると、どれも正しいことを言っているように思えますが、全てにマイナスな点があります。そのマイナス点を突っ込んでいき議論を深めていくのが本書の大まかな流れです。

物語のあらすじ・正義を代弁する3人の少女

学校で生徒会長を務める主人公の正義(まさよし)は、自分の中の正義を見失った少年です。彼は同じ生徒会のメンバーである3人の少女に翻弄されます。

功利主義を主張する正義の幼馴染・千幸(ちゆき)
自由主義を主張する飄々とした先輩・自由(みゆう)
直観主義を主張する真面目な副会長・倫理(りんり)

3人は異なる正義を信じており、自分の信念を曲げることはしません。そんな彼女たちに、倫理の先生・風祭は授業で問題提起をしていきます。そして彼女達のトラウマが徐々に明かされていきます。主人公の正義は、それぞれの正義のプラス面、マイナス面を学び、自分なりの答えを見つけようとしていくのです…。

登場人物たちの会話はテンポよく、哲学の本を読んでいたことを忘れてるくらい、スラスラ読むことができます。哲学入門書として分かりやすいだけではなく、読み物としても面白いのが、本書の素晴らしいところです。

感想・自分の正義は正しい?

私は本書を読んで、自分の信じている正義は正しいのか?を常に考え続けることが大切だと思いました。それぞれの正義を主張する3人の少女は、自分の正義を盲信するあまり、とても頑なで融通が利きません。信念を持つことはとても大切だと思いますが、異論に聞く耳を持たずに排除する行為は理性的だと思いませんでした。

新型コロナウィルスの感染が拡大して、私たちの生活は一変しました。価値観が変わる中、今まで信じてきたこと、自分の正義が通用しない時代が訪れているのかもしれません。そんな中で、今までの価値観にこだわり続けるのではなくて、常に新しい情報、異なる意見を吸収し続けて、答えを探し続けていくことが大切だと思います。何が自分にとって大切なのかを改めて考える機会が訪れているのかもしれません。

最後に

本書のラストで正義のとる行動は、衝撃的で、受け入れがたいものが私にはありました。しかし、ここで正義の行動を拒絶するのではなく、なぜ彼がその行動をするに至ったのか考えて、理解しようとすることが正義を考える第1歩だと私は思います。拒絶ではなく理解。本書を読んで、改めて自分にとって大切なものは何かを考えてみてはいかがでしょうか。

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正義の教室 感想
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