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『さようなら全てのエヴァンゲリオン ~庵野秀明の1214日』感想 謎多き男の素顔

『さようなら全てのエヴァンゲリオン ~庵野秀明の1214日』はNHK BS1で放送され、現在はAmazonのPrime videoで視聴可能なドキュメンタル番組です。
この番組は以前NHK総合で放送された「プロフェッショナル仕事の流儀」に、新たな映像を加えて再編集したものになります。

約4年間、『‎シン・エヴァンゲリオン劇場版』の現場を密着した映像は、とても濃いものとなっていました。庵野監督に振り回される制作陣、安野モヨコやジブリの宮崎駿監督へのインタビュー、居酒屋でゴーヤチャンプルーの豚肉をよける庵野監督など盛りだくさんの内容でした。

それでは、番組の感想を語っていきたいと思います。ネタバレ含みますのでご注意ください。

謎に包まれた庵野秀明の素顔

本番組を通じて、今まで謎に包まれていた庵野監督の素顔を少し知ることができました。庵野監督にまつわるシーンで自分が印象に残ったところをご紹介していきます。

分かんない

2017年10月に行われたアイデア出しをする熱海合宿で、スタッフが庵野監督にエヴァ2号機のデザインについて質問をするシーン。そこでスタッフの方の「仮に進めるとしたらどれ(どのデザイン)ですか?」という質問に対して、庵野監督は「分かんない」としか言いません。

それを聞いて、「いや、あんたもわからんのかーい!」と思わずツッコミをいれてしまいました。
スタッフの話では、こういうことが日常茶飯事で起こっていたようです。この時期は庵野監督の中でも、はっきりと作品のイメージが固まっていないようでした。

他にも要因はあると思いますが、庵野監督自身も手探りで携わっていたから『‎シン・エヴァンゲリオン劇場版』の完成までに時間がかかったのかもしれません。

ただスタッフの方々は、そんな庵野監督の言動に苦笑いを浮かべながらも、どこか楽しそうでした。文句を言いながらも、スタッフ一丸となって庵野監督が求めるものを実現させようとしているのが伝わってきました。

作品にかける思い

私があまり重要とは思わなかったシーンでも、庵野監督は心血を注いでいました。アングルが面白くない、新しいものを作りたい等と言って、何度も何度も納得がいくまでシーンのチェックをしているのがとても印象的でした。

絶対に妥協したくないという庵野監督の強いこだわりが垣間見えました。編集室にこもり、同じシーンの画面をひたすらに眺めている姿は狂気すら感じます。この姿勢が作品のクオリティを上げているのだと思いました。

また庵野監督は「自分の命と作品を天秤にかけたら、作品の方が上なんですよ」とおっしゃていました。けっこうこの発言は自分にとって意外でした。私の勝手な考えで、庵野監督は自分の作品に対してドライな感情を持っているのではと思っていました。
しかしそんなことはなく、庵野監督は自分が手掛ける作品をなによりも大事にしていたのです。画面を通じて、庵野監督の作品にかける熱い思いが伝わってきました。

小学生の同級生との再会

庵野監督の故郷、山口県宇部市へ行ったとき、小学生時代の同級生と偶然出会います。「でかくなった?」「そんな変わらんよ」と庵野監督が同級生と少し気恥ずかしそうに話しているのが新鮮でした。

そこにはいたのは庵野 ”監督”ではなく、1人の人間・庵野英明でした。浮世離れしてミステリアスな印象の庵野監督ですが、こうしてみると普通のおじちゃんだなと思ってしまいました。

その他で気になったところ

その他気になったところを上げていきます。

宮崎駿・鈴木敏夫

ジブリの宮崎駿監督と鈴木敏夫プロデューサーのインタビューでは、2人が庵野監督の才能に惚れこんでいるのが伝わってきました。2人とも庵野監督のことを変人扱いしていましたが、庵野監督の話をしている2人はウキウキしていたと思います。

エヴァを支えた声優陣

レイとシンクロする林原さん、ブースで涙を流す三石さん、庵野監督と終わりをしみじみ語る宮村さん、完結に少し後ろ髪を引かれる緒方さん。

『エヴァンゲリオン』を支えてきた声優陣が作品にどのように関わってきたのかが少し伺い知れます。25年の歳月の重みを感じました。

庵野監督よりも謎の人物

庵野監督の横に常にいる坊主頭で眼鏡をかけた男性。表情を変えることがほとんどなく、何を考えているのかまったくわかりません。番組でも名前が明かされず、謎のままです。

気になって調べてみると、この方は轟木一騎という方でした。轟木さんは『エヴァンゲリオン新劇場版』シリーズから総監督助手として参加されています。いつか轟木さんの話も聞いてみたいなと思いました。

最後に

100分という時間の中では全ては分かりませんが、庵野監督の作品に対するこだわりは伝わってきました。自分が納得いくまで妥協しないという姿勢が、『エヴァンゲリオン』をアニメ史に残る作品たらしめたと思います。

エヴァを制作する現場の様子は、いつまででも見ていたいと思うほど刺激的でした。庵野監督に振り回されても、どこか楽しそうなスタッフの方々の表情が忘れられません。スタッフの方々が庵野監督の仕事をリスペクトし、監督が思い描く『エヴァ』を完成させたいという思いを共有しているのだなと思いました。想いを同じくするスタッフに囲まれて、庵野監督は幸せです。

『シン・ウルトラマン』『シン・仮面ライダー』と今後も庵野監督が関わる作品が公開予定です。『エヴァ』以外も庵野監督から目が離せません!

『さようなら全てのエヴァンゲリオン ~庵野秀明の1214日』はAmazonのPrime videoで視聴可能です。『‎シン・エヴァンゲリオン劇場版』も視聴できますので、興味を持たれた方はPrime videoに入会してみてはいかがでしょうか?

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