スパイアクション映画の金字塔『007』シリーズの最新作『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』。今作は、直近の過去4作品で主人公ジェームズ・ボンドを演じてきたダニエル・クレイグの最終作となります。今までのジェームズ・ボンド像を打ち壊してきたダニエル・クレイグですが、その最後に相応しい作品となりました。
今回は『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』を観てきた感想を、まだ見てない方や「007」初心者の方に向けてとネタバレありの感想の2つに分けてご紹介してきたいと思います。
まだ映画を見ていない方、007初心者の方に向けての感想
まず本作を観る前に、過去作品を観た方が良いかもしれません。
「007」は作品ごとにストーリーは独立しているのですが、今作『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』は前作『スペクター』の続きから始まります。ですので、今作を観る前に『スペクター』の復習をした方が、ストーリーを理解しやすいです。
また、今作始めて「007」を観るという方は、最低でもダニエル・クレイグが最初に出演した『カジノロワイヤル』だけでも観た方が良いかもしれません。『カジノロワイヤル』で起こるある出来事が、その後のボンドを形作っているからです。ダニエル・クレイグが演じるボンド像がわかると、その他の作品も楽しめます。
Amazonのプライムビデオでは、「007」の過去のシリーズ全24作品を視聴することが可能です。気になる方はチェックしてみてください。
ボンドガールの活躍
次に本作の見所ですが、今作は過去に例がないくらいボンドガールが大活躍しています。ボンドと共に戦ったり、恋愛関係になったりするボンドガールですが、今作は戦うボンドガールに要注目です。
新人CIAエージェントのパロマ(アナ・デ・アルマス)のキュートでセクシーな姿には魅了されてしまいました。3週間しかトレーニングしていないと話すパロマは、最初は緊張していて頼りなかったのですが、いざ戦闘が始まると胸元の開いたセクシーなドレスで激しいアクションを決めてくれます。ギャップに魅かれること間違いありません。
また今作では、退任したボンドの後に「007」を継いだノーミ(ラシャーナ・リンチ)という女性エージェントが登場します。ボンドにバチバチと対抗心を燃やす彼女の実力は折り紙つきで、冷静にミッションを遂行する姿は絵になっていました。その存在感はボンドと並びたっても負けていません。
あと忘れてはいけないのが、前作『スペクター』から登場するマドレーヌ・スワン( レア・セドゥ)。彼女は今作でも物語の重大な鍵を握っています。ボンドを誰よりも大切に想う彼女の姿は、観る人の心を打つはずです。
見所いっぱいのアクション
「007」と言ったら何といっても激しいアクション。今作も最初から街中で激しいカーチェイスを繰り広げます。人や建物を避けるボンドカーのギリギリの走行は、手に汗握りました。ボンドカーのギミックも発動して、最初からフルスロットルです。
パロマと共闘するシーンも面白いです。先程も書きましたが、セクシーなドレス姿で戦うパロマに心を奪われてしまいました。惜しげもなく披露される美脚に目が釘付けです。
ボンドのアクションも健在で、肉弾戦、銃撃戦など危機が迫る状況で繰り広げられるアクションは見応え充分です。いつやられてもおかしくないという状況が続き、ドキドキしっぱなしでした。
その他にもアクションの見所はたくさんありますので、アクションだけでもかなり楽しめると思います。
ネタバレありの感想
ここからはストーリーのネタバレを含めた感想を書いています。ネタバレが嫌いな方はご注意ください。
サフィンについて
今作でボンドの敵となるサフィン。最初の登場時に能面を被って現れ、銃で撃たれても死なない彼はホラーな存在でした。ラミ・マレックの演技も相まって、一際不気味な存在感を放っています。
彼はシリーズで暗躍しつづけた巨大犯罪組織「スペクター」を壊滅させて、ボンドの前に立ちはだかりました。「スペクター」さえ踏み台にしてしまう彼は、シリーズの最後の敵に相応しいと思うのですが、もう少し掘り下げてほしかったです。
ブロフェルドに家族を葬られ、ボンドと似た境遇のサフィンですが、ブロフェルドへの復讐を近い、力を手に入れるまでの過程を知りたかったです。ふわふわした喋り方で、小難しい話をするのがいけなかったのか、キャラクターを弱く感じてしまいました。「ヘラクレス」の科学者・オブルチェフやボンドを裏切るアッシュの方がまだキャラが立っています。
サフィンが強大な敵になるまでの過程が組み込まれていたら、もっと魅力的な敵になっていたかもしれません。
ダニエル・クレイグが演じるボンドらしいラスト
私が「007」と出会ったのは、ニンテンドー64で発売された『ゴールデンアイ 007』です。映画「ゴールデンアイ」を原作としたゲームで、対人プレイが面白く、良く友達と遊んでいました。そこから、「007」の映画を観始めたのですが、そのときボンド役はピアーズ・ブロスナンでした。
背が高く、ハンサムなブロスナンは、華があってセクシーでした。軽口を飛ばし女性を魅了し、優雅にミッションをこなしていく…。それが「007」ジェームズ・ボンドに対する最初の印象です。
ダニエル・クレイグにはその印象があまりなかったので、彼がボンド役に決まったときは驚きと不安がありました。ですが、無骨で地味な印象のダニエルは、ブロスナンとは違うボンド像を見事に築き上げます。
ダニエルの演じるボンドには弱さが垣間見えました。「カジノロワイヤル」で最愛の女性・ヴェスパーを失ったボンドは、彼女を失った悲しみをその後も抱え続けます。その後のボンドは、どこか悲壮感があり、今にも溢れ出しそうな激情を胸に秘めていると私は感じました。
そんな彼が最後の最後に最愛の人を再び見つけ、最愛の人の幸せを願い散っていく様子はとても美しかったです。往年の「007」ファンからしたら、今回のラストは受け入れがたいかもしれません。
ですが、私は不器用で愛に飢えていたダニエル版ボンドの最期らしいと思いました。彼のボンドにしかできないラストでした。
最後に
『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』のネタバレなし、ネタバレありの感想でした。
私にとってダニエル演じるボンドは、ボロボロに打ちのめされる姿が良く似合い、どこか哀愁を感じるキャラクターでした。
今回でダニエル・クレイグはボンド役を降板することになりますが、「007」シリーズはこれからも続いていくので、次回作も楽しみにしたいと思います。
過去作はAmazonのプライムビデオで視聴可能ですのが、興味のある方は是非チェックしてみてください!